一条工務店の床暖房は「全館床暖房」が一般的ですので、家全体に寒い場所が無いと言われます。
一般的には寒いと言われる吹き抜けやリビング階段ですが
という説明を営業さんからされる方も多いと思います。
また実際に暮らしている方からも「リビング階段でも寒くないよ~。」という感想があるのも事実です。
でもちょっと待ってください。
寒くないよという感想の方がいることも事実です。
しかしリビング階段が基本的に寒さを感じる原因になることに変わりはありません。
また吹き抜けでも間取りと暮し方によっては寒さを感じる原因になりえます。
ポイントは
- 階段の種類
- 階段の配置
- 2階階段ホールの間取り
の3つです。
また既に建築済みの方でリビング階段に寒さを感じている方への対策も、合わせてお伝えしたいなと思います。
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床暖房で寒さを感じる階段の種類
一条工務店で採用できる階段は、家の種類によって変わりますが大きく分けて2種類。
- 通常の階段
- オープンステア
になる訳ですが、今回のリビング階段で寒さを感じる階段は「通常の階段」になります。
また「オープンステア」や「吹き抜け」でも2階の階段ホールなどの間取りによっては寒さを感じる事と思います。
我が家は平屋なので階段は無いのですが、床暖房のお悩みを相談される中で色々な間取りを拝見してお話を伺ってきました。
その中でなんとなくですが
なんていうのが分かるようになってきました。
では実際にどのような間取りだと階段からの寒さを感じるのでしょうか?
室温は暖かいのに寒いってどういう事?
「吹き抜けやリビング階段でも寒くない」という事を伝えるサイトなどを拝見すると
- 1階と2階の室温の差
を例に説明をしているものがあります。
確かに寒さの体感において「室温の差」は重要なポイントです。
そしてその「室温の差」が少ないから寒くない!と伝えていますがそれは短絡的かなと思います。
室温の差がなくても、もっと限定的な温度差でも寒さを感じる事があるのです。
というか、一条工務店の家の場合この「限定的な温度差」により感じる寒さが大きな問題になります。
温かい空間の中に冷たい物があると、ドライアイスの冷気が足元を這うように流れる様子が想像できるかと思います。
同じように家の中で寒さを感じる場所といえば
掃出し窓を代表とする窓であったり。
玄関の土間であったり。
主に断熱性の弱い場所やそもそも床暖房が入っていないエリアが問題になります。
ここから流れてくる冷気が寒さの原因になるのですね。
掃出し窓の近くなんて室温が高くても寒さを感じるでしょう?
例えば冷蔵庫を開けっ放しにしてると冷気が床を伝ってくるのが分かるでしょう?
床暖房が入らない階段は冷たさの塊
全館床暖房と言われる一条工務店さんが採用している床暖房。
その中でも階段は床暖房が入らない場所になります。
特にもオープンステアでない通常の階段においては一部の例外を除いて
- 階段の本体
- 階段下の収納
いずれにも床暖房が入らないまさに家の中で温まらない冷たさの塊のような場所になります。
関連 【間取り設計失敗例】床暖房が配置されてしまった階段下収納。床暖HB前は一番暖かい空間になる事を忘れないようにしよう。
その為に床暖房が入り床まで暖かい周りにくらべて確実に冷たいエリアとなります。
これにより局所的に冷たいことからコールドドラフトが発生し、確実に階段から冷たい空気が流れてくるものと思います。
階段というのは床暖房が入らないので単純に床材が暖まりにくいです。
しかもこの冷たい範囲は階段全体に渡るわけですから確実に寒さを感じる原因になりえます。
床暖房が入らない階段が冷たくなりやすい理由
また階段が冷たくなりやすい環境の原因として
- 日当たりが悪いエリアに配置されがちである
- 大型の窓が設置されやすい
- 階段下収納の存在
という点も挙げさせていただきます。
南側に配置されにくい階段
間取り設計を考える際に、日当りの良い南側というのは一般的にリビングなどの生活の中心となるスペースが配置されやすいでしょう。
その流れから行くと日当たりが関係なく常に人がいることが少なそうな
- 水回り
- 階段
- 収納スペース
などは間取りが出来上がってみると日当たりの悪い場所に配置される事が多そうです。
日当たりが悪い=階段が直接暖まりにくいという単純な理由で、どうしても階段スペースというのは冷えやすいと思います。
また階段は感覚的にも3方が壁に囲まれたような空間になりやすいです。
その為に余計に暗く隔離されたようなエリアになってしまいますね。
大型の窓が設置されやすい
階段は閉鎖的な空間が多いことから、日差しを取り入れる意味から階段スペースに対して大きめな窓が配置されやすい場所でもあります。
いくらトリプル樹脂サッシの性能が良いとはいえ、壁の断熱材より寒いのは明らかな事です。
昼間に日差しが入ってくるような配置なら良いのですが、北側に配置された階段窓などは日差しが入ってくるのは良くて夕方ぐらいでしょうか?
一方で日差しを取り入れようとハニカムシェードなどを昼間は開けっ放しの方も多いでしょう。
床暖房が入っていない階段下収納
また基本的に床暖房が入っていない階段下収納。
一般的な家よりは暖かいとは思いますが、どうしても居室よりは室温が下がるのではないでしょうか?
階段が外壁に接している面積が大きいほど階段下収納の暖かさは外気の影響を受けるわけです。
外壁に面したストレート階段
例えばこのように外壁に接したストレート型の階段の場合はどうでしょうか?
室内に接している壁が少なく外壁側から冷やされる割合も多く、それだけ階段下収納は冷えやすいと思います。
外壁に面したボックス階段
一方で外壁に面したボックス階段はどうでしょうか?
ストレート階段階段ほどは外壁に面した場所が少なく、比較的ですが冷えにくいでしょうか。
外壁に面してない階段
例えばこのような家の中心部分に階段が配置された場合はどうでしょうか?
外壁に接している部分が無いことから室温の影響を受けやすく、階段下収納も若干暖まりやすいのかなと思います。
家の中の壁には基本的に断熱材は入っていませんからね。
同じように外壁に対して垂直に配置されたストレート階段なども影響は最小限でしょうか。
階段下収納の冷えやすさ=階段を下から冷やす効果が高い。
少なくとも階段を積極席に温める効果は無いと思います。
このように小さなことではありますが、階段の冷えやすさには関係があるのでは?と考えています。
オープンステアは影響が少なそう
一方でオープンステアはリビング階段ではありますがその構造が大きく異なります。
階段下の収納がありませんし、階段部分は簡単に言うと板1枚なので極度に冷えることも無いのかなと思います。
床暖房のあるフローリングよりは冷たいでしょうが、室温がある程度で安定していれば普通の階段ほどは冷たくないのでは?と思います。
またオープンステアである事からも、通常の階段にくらべて2階からの冷気が1箇所にまとまって流れて来にくい構造でもあるのかなと思います。
この事からも一般的にオープンステアではリビング階段特有の冷たさを感じにくいのではないか?と思うのです。
同じ「リビング階段」ではありますが、オープンステアと通常の階段とではその感想の前提条件が大きく変わることは考慮すべきでしょう。
注意したい2階階段ホールの寒さ
またリビング階段の寒さというと、どうしても階段だけを考えてしまいがちです。
しかし重要なのは階段ホールの床暖房設定になります。
なんていう事はよく言われる訳です。
実際に2階の居室はしっかりと暖める方もいらっしゃると思います。
しかし2階の階段ホールはどうでしょうか?
- ほぼ瞬間的に通過するだけの場所
- 吹き抜けと繋がっていて暖かい空気も溜まりやすい
- 構造的に日当たりが悪い場合が多い
などの理由により、室温はある程度確保されていることから床暖房の設定温度を下げている方も多いのではないでしょうか?
このように階段ホールが吹き抜けと繋がっていたりすると、熱が溜まりやすいので室温は確保されている事が多いでしょう。
一方で床暖房がしっかり動いてないと床面は冷えたままなのです。
ただでさえ冷える階段部分。
さらに階段ホールのフローリングが寒さの原因となって1階へ冷気が流れてくる原因にもなりえるでしょう。
全館床暖房でも寒い吹き抜けやリビング階段への対策
このように全館床暖房でも寒くないと言われるリビング階段。
他のハウスメーカーさんなどに比べればかなり寒さを感じにくく快適である事に間違いはありません。
しかし全く寒くないか?と言われるとそれは幻想であり、条件によってはしっかりと寒さを感じる事と思います。
- 階段の種類
- 階段の配置
- 窓の有無
- 2階階段ホールの条件
などにより全館床暖房だとしてもリビング階段は寒さを感じる不快な場所になってしまいます。
対策として考えられる事は
- 窓は極力小さく、明るさは照明で確保すること
- 窓にはハニカムシェードが必須
- 2階階段ホールだけ床暖房エリア設定を分ける
(トイレなどと含めて単独のエリアとする) - エアコンを補助暖房として使い冷気の流れを遮る?
などが考えられるのかなと思います。
展示場などは床暖房の設定温度もかなり高く、このような階段からの寒さは感じにくいと思います。
また靴下やスリッパ派の方よりも裸足派の方がより寒さを感じやすいでしょう。
設計中の方はこのリビング階段の寒さへの対策は忘れないようにお願いします。