今回は間取設計の失敗例として、電気図面上で計画した位置に照明器具が取り付けられていなかった、取り付けることが出来なかったという事例を紹介してみたいと思います。
実はこの件は今までも何回か私の記事中で触れてきた件ではあります。
しかし未だに照明器具が思った位置に取り付けられていないという後悔を目にしますので改めて記事にしてみようと思います。
今回の事例は一条工務店さんのLEDキャンペーンを採用されている方には基本的に発生しないであろう事例になります。
しかしながら一部でも他社製の照明を取り入れる際には陥りやすい失敗かなと思います。
また逆に一条工務店さんのLEDキャンペーンを利用されている方。将来的に照明の交換作業が必要になった時に困ることが出るかもしれません。
そんな訳でみなさんに一読して頂ければと思います。
間取り設計失敗例シリーズのおことわり
この記事の目的は間取り設計時に気づきにくい問題点を改めて確認する為の物です。
過去に建築された方などの事例や実際に住んでからの失敗・後悔点を参考にしてその問題点を確認するためのものです。
また過去事例にとらわれず、間取り設計中に気をつけたいポイントなども紹介していきたいと思っています。
紹介する内容については成功・失敗の捉え方が人により変わる点もあります。この相違は生活習慣の違いだったり感性の違いなどにより発生するものです。
失敗と思わない方も人によっては問題点と捉えかねない事案であるという事でご了承下さい。
これにより紹介した方を蔑んだりするような意図が全く無いことを予めご了承下さい。
タップで飛べるもくじ
図面と違う照明の取付位置
まずは我が家のトイレ・スロップシンクエリアのダウンライトの設置をご覧ください。
このエリアは1マス幅のスペースなので通常は真ん中にダウンライトが設置されるのが自然かと思います。
しかし実際には真ん中にダウンライトが設置されずズレて設置されています。
それでは電気図面ではどのように指示されていたのでしょうか?
パッとみると1マス幅の真ん中にダウンライトの指示がされているように見えます。
では我が家のトイレ・スロップシンクエリアのダウンライト設置は施工不良だったのでしょうか?
トラブルの原因になりえるダウンライト設置位置
このダウンライトの設置位置がズレている件ですが、我が家においては設計時からこのようになることが分かっていたので何も問題がありませんでした。
しかしながら事情を知らない方が打合せ時の電気図面を見て「1マス幅の真ん中に設置されるんだな」と思っていたら大変です。
実際に上棟が終わり、内装工事が進み、ダウンライトの穴を天井に開けようかもしくは穴を開けた後になって初めて
「こんな位置にダウンライトが設置されるなんて聞いていない!」
というトラブルになりかねないものだと思います。
原因は天井の構造体の存在
今回の電気図面通りにダウンライトが取り付けられていなかった原因は天井にある構造体の存在です。
天井には図面上でみるマス(グリッド)でいう0.5マス間隔で構造体が走っています。
ダウンライトは天井に埋め込まれる照明なのでこの構造体が邪魔になってしまい、図面で指定された位置に設置出来ないのです。
今回の我が家のトイレ・スロップシンクエリアは1マス幅になっていますので
このようにど真ん中に構造体があるために埋め込み式のダウンライトは設置が出来ないのです。
また電気図面上にはこのような記載もありますね。
※スイッチやコンセントをはじめとする配線機器の位置は。構造上の理由により。図面表記の位置と多少のズレが生じることがありますので、ご了承ください。
この表記が必ずあるはずです。
多少ズレるとは言えど真ん中に取り付けられると思っていたダウンライトがズレたらそりゃ見栄えも気になるでしょう。
広い空間で位置が若干ズレてしまうのと、狭い空間で位置がズレるのは見た目からも違いますよね。
指定位置に設置できないのは社外品のダウンライトだけ
今回のお話を見て建築済みの方は
「うちのダウンライトはど真ん中に取り付けられてるよ、このまぼこって人何を言ってるんだ?」
と思われる方もいるかもしれませんね。
この構造体の存在が邪魔になって電気図面で指定した位置に取り付けられない問題は、パナソニック製などの社外品のダウンライトを設置した場合に限ってのお話になります。
多くの方が採用されている一条工務店さんのLEDキャンペーンを採用したダウンライトは構造体の存在を気にしないで設置が可能です。
なので拘りをもって社外品のダウンライトを設置した人だけが陥る罠ということになりますか。
なぜ社外品のダウンライトは設置が思ったようにいかないのか?
一条工務店さんのLEDキャンペーンで使われるダウンライトは社外品の製品を一条工務店さん仕様として採用しているものかと思います。
細かい事までは分からないのですがLEDキャンペーン品のダウンライトはその形状が特殊なのか構造体に接触しないような形になっているようで構造体の上にも設置が可能のようなのですね。
対して社外品のダウンライトを設置する場合には一条工務店さん仕様のダウンライトと違う取り付け方法がされます。
まずは電気図面をご覧下さい。
パナソニック製のダウンライトにはグラスウールという表記がされているのがわかると思います。
対してLEDキャンペーン品のダウンライトにはグラスウールの設置が指示されていません。
このグラスウールという表記は一条工務店さんのLEDキャンペーンだけを採用されている方には馴染みのない表記かと思います。
建築中の様子を見てみましょう。
このようにダウンライト取り付け予定の位置は予め天井の断熱材がくり抜かれれた状態でフィリピンの工場で生産され上棟がされます。
そしてダウンライトの設置前に火災防止などの為にグラスウールが設置された上でダウンライトの設置が行われます。
この作業が一条工務店さん仕様のダウンライトでは無いのです。
このように社外品のダウンライトを採用する際にはグラスウールを入れる余計なスペースも必要になることがわかります。
本当の問題は照明交換時に発生するかも?
今回のトラブルに関しては多くは社外品のダウンライト等を採用した場合に発生するものであります。
一条工務店さんのLEDキャンペーンを採用されている方には関係のないお話に思えますが、全く無関係という訳でもありません。
説明した通り一条工務店さんのダウンライトを採用した場所が構造体などと被る場所の場合には社外品のダウンライトを取り付けることが出来ないわけです。
これはつまり10年前後の時を経てダウンライトの交換時期が来た時に、現在の仕様であれば一条工務店さんのダウンライトを取り付けることしか出来ず社外品を選ぶ選択肢が無くなる可能性があるということです。
あくまで構造体の上に一条工務店さんのダウンライトが設置されている場合のお話です。
一条工務店さんのダウンライトで何も問題が無いよという方は良いのですけど。
交換の際に折角だから社外品のダウンライトを使ってみたいなと思った際に簡単には取り付けが出来ない可能性があるという事ですね。
我が家の設計時には一条工務店さんのダウンライトとパナソニックさんのダウンライトは天井裏のハウジング(本体)の形状が違う為に取り付けが出来ないんですというような説明をされたような気がするのです
しかし実際にそこまでの違いがあるのかな?というのは現場では確認が出来ませんでした。
グラスウールに関しても一条工務店さんのキャンペーン品はグラスウールを使用しなくても大丈夫だという検証がされているから使用していないだけなの「かも」しれません。
天井のスペースが足りないのであれば、断熱材の場合は多少削ることで設置もできる「かも」しれませんね。
また長期的に見て設置に対して融通の聞く小型のダウンライトなんかが発売になるの「かも」しれません。
しかしこれは希望的観測なので現状としては厳しいと言う事です。
じゃあどうすればいいの?
設計時に構造体の部分を交わしてダウンライトを計画してもらうと良いのかなと思います。
社外品のダウンライトを設置する場合にはフィリピンのHRDで図面作成する際に自動的に構造体を避けた位置にダウンライトが計画されてきます。
しかし一条工務店さんのLEDキャンペーンのダウンライトを計画した場合は構造体の真上でも計画が出来てしまうんですよね。
これをあえて構造体から外した位置に指定してもらう事により、将来的にダウンライトを社外品に交換できる可能性を残しておくのが現状で対応できることなのかなと思います。
なぜ社外品のダウンライトを採用するのか?
そもそもLEDキャンペーンの照明で満足されている方からすると社外品の照明を使う理由が分からないという方も居るかもしれませんね。
簡単に言うと一条工務店さんで紹介されるLEDキャンペーンの照明には無い高機能な機能が付いたものが沢山あるからです。
我が家ではパナソニック製品を中心に取り付けたので、パナソニック製品の情報を元にまとめてみると
- 調光機能がある
- 調色機能(シンクロ調色)がある
- かってにスイッチ(ほんのり点灯)に対応できる
- 一条品にはない色がある
- 美ルック対応品がある
- 間接照明などに対応が出来る
などという理由から、満足の行く照明案を計画するためには一条工務店さんのLEDキャンペーン品では物足りないのです。
この辺については後ほど別の記事にてまとめたいなと思っています。
失敗談を多く見かけるダイニング照明
ここからはよく見る失敗談としてダイニングキッチンにおける事例を紹介してみたいと思います。
設計時にダイニングエリアにはダイニングテーブルなどを置く予定の方も多いと思います。
ここでよく見かけるのが
- ダイニングテーブルの位置に照明位置が合ってない
という事例になります。
理由として考えられることは
- テーブルの設置位置を吟味していない
- テーブルの大きさを決めきれていない
などという簡単に言うと「ダイニングエリアの計画が何となくボヤッっとしか決まっていない」事が原因なのかなと思います。
ダイニングエリアの照明にシーリング系の照明を採用するのであれば見栄えの問題はあれど灯りの届き方は大差が無いと思うので位置関係をあまり気にする必要はないのかもしれません。
しかしダウンライトやペンダントライトなどを使う際にはダイニング使用時に影が出来たりして毎日の使用時に支障がでる可能性があり注意が必要です。
計画をしても予定通りに行かないことも多い
いやいやしっかりと計画したよ!でもズレちゃったの!という場合は前述した構造体の件が原因にあるのかもしれませんね。
図面上では家具等の配置予定が点線で示されていることと思います。
まずはこの配置予定図の家具の位置や大きさが正確なのか?を考えなければいけません。
打ち合わせに夢中になっていると、施主側は自分が置きたい家具などが決まっていたとしてもそれを正確に設計士さんに伝えきれていない可能性があります。
また図面を書き換える工程の中でいつのまにかダイニングテーブルのサイズが変わっていたり。
そんな過程を経て図面に表記されているダイニングテーブルの大きさが自分の設置したいものと同じ大きさだと思い込んでしまう可能性があります。
もしくは一般的な大きさですと表記されたそのダイニングテーブルの大きさが実は自分の設置したいものと違うかったり。
しかし打ち合わせで頭がいっぱいになっていることからダイニングテーブルの大きさなんて考えられないこともありそうです。
これはリビングのソファーセットなどの配置図などの際にもよくある失敗談ですね。
そんな前提を忘れたままで打ち合わせに没頭するあまり、何となくダイニングテーブルの表記されている上に設置された照明がそれで大丈夫なんだと思いこんでしまうことに失敗の理由があるのかなと思います。
そして前述した理由により図面の照明位置と実際の照明の設置位置がズレていることから大幅にダイニングテーブルからズレた位置に照明が設置されてしまう例です。
また電気図面の打ち合わせは打ち合わせが始まってかなり終盤の事も多いかと思います。
着手承諾予定までの期限も迫り打ち合わせを重ねる間に疲れ果ててきて設計士さんのお任せコースなんていう方も多いように感じます。
そんな中では冷静にダイニングテーブルなどの配置や大きさまで頭が回らない方も多いのかもしれませんね。
ライフスタイルによって変更が多いかもしれないダイニングエリア
またダイニングエリアに関してはテーブルの置き方やサイズなどの変更により長期的に見て計画が変わる方も多いかもしれませんね。
これからの子育て世代の方は家族が座れるように大きめのダイニングテーブルが必要になるかもしれません。
子供が巣立った後は大きなテーブルも必要なくなり、数十年後にはサイズダウンを検討するかもしれませんね。
我が家においてもダイニングの配置変更は考慮にいれた計画をしました。
息子が車椅子などを利用することになった際にはダイニングなどの計画変更がありそうかなと考えたからです。
しかし計画的にダイニングテーブルの長さなどは変更をしても左右の移動はないと考えました。
またダイニングテーブルの幅が変更になっても中心点はあまり外すことがないだろうと考えました。
よってパナソニック製のダクトレールを採用しテーブルの設置位置に対して照明を移動できるように考えました。
この場合はアイランドテーブルやダイニングテーブルの中心位置を外すことは絶対に避けたかったので、電気図面の計画時からかなり気をつけていたポイントになります。
アイランドテーブルを基準に考え照明がグリッド上に無いことを確認しました。
建築時に現場確認が最善の対策
このように照明の設置場所が微妙な場所に関しては是非とも現場にて打ち合わせをして欲しいなと思います。
ダウンライトの場合は構造体に加工がされてきたりして大幅な位置変更はできませんが微調整は可能です。
また我が家の採用したようなダクトレールなどを使うとある程度の位置変更は可能かなと思います。
この微調整的な作業は上棟が終わり内装工事が進み、照明などの取り付けの段階までに決めておけば良いのかなと思います
その一方で照明の設置においては電気配線が来てないと対応ができません。
この電気配線を引き回す作業というのは実は上棟が終わって真っ先に行われる作業だったりします。
よって照明の設置位置などの拘りがある方については、上棟後すぐに営業さんや担当監督さんにお願いして現場確認をさせてもらい、電気工事の業者さんと打ち合わせをする必要があるのかなと思います。
後から気づいても配線が来て無くて対応が既に厳しかったという場合もありますからね。
ペンダントライトなどで位置固定をする場合の対処
我が家のようにダクトレールなどの機器を使って照明の設置位置を移動できるようにせず、天井からペンダントライトを直接ぶら下げる計画の方もいらっしゃることでしょう。
特にもこの場合に思ったような場所に設置できなかった!という事例が多いような気がします。
またダイニングテーブルのサイズ変更や位置変更などによりペンダントライトの位置が合わなくなってしまったという例もありそうです。
そんな場合はこんな物を使って対応する事も出来そうですね。
こちらのコードハンガーを使うとペンダントライトなどの移動が可能になります。
このようにペンダントコードを移動することにより照明の移動が可能になります。
しかしここでも注意したいことが。
こちらのコードハンガーは天井補強などをしていて自由に設置場所を選ぶ事は出来ません。
注意書きに「野縁(のぶち)の入っているところに取り付けること」が記載されています。この野縁という言葉が聞き慣れないのですがいわゆる構造体の部分になります。
なので天井補強などがしてあっても思った位置に移動できると限ったことではないということです。
また製品によっては構造体に設置しなさいという注意書きがない製品もあるようです。
しかしペンダントライトが天井から落ちてくるとかなり危険を伴います。
照明の重さも関係があるとは思いますが出来れば不用意な設置は控えて欲しいなと思います。
一条工務店さんの家の天井にはロスガードの換気ダクトやエアコンの先行配管などの取扱に気を付けなければならないものも沢山ありますので余計に注意が必要です。
万が一にダクトなどに穴を開けてしまうと大変な補修作業になってしまいますので、特にもその作業には気を付けなければいけませんね。
まとめ
今回は天井のダウンライトなどが思った位置に設置されていないトラブルに関して書いてみました。
簡単な理由としては
- パナソニック製などの社外品のダウンライト採用時に発生する
- 電気図面で真ん中に予定されているように見えるダウンライトもズレて設置される
- その理由は天井にある構造体が邪魔になるからである
という事でした。
この天井にダウンライトが思ったとおりに配置できないという点についてはダウンライトだけでなく、ナノイー発生機やロスガードの給気口(SA)などを配置する際にも同じようなトラブルとして発生します。
我が家のダイニングキッチンのように天井のダウンライトなどを一直線に並べようと思うと、この構造体の位置などをしっかりと考えた上で計画・および建築中の指示お願いが必要になります。
https://www.maboko.net/carpentry-36/
こちらの記事にてその過程を紹介しておりますので宜しければご覧下さいね。
また今回の案件で度々出てきた構造体というものに関してはこちらの記事にても紹介しておりますので合わせてご覧下さい。
https://www.maboko.net/architectural-consideration-01/
https://www.maboko.net/architectural-consideration-05/
恐らく数十年と暮らすことになるだろう新居です。短期的・長期的な計画のもとで照明の計画を行ってほしいなと思います。
コメントを残す