一条工務店さんで情報収集をするとよく聞く「稟議」という言葉。
色々な例を拝見したり相談を頂く中で
というように「稟議」という言葉の使い所を間違っているなと思う例がよくあるんですよね。
稟議案件については大きく分けて2種類かなと考えています。
- 構造体に関わる稟議案件
- 造作に関わる稟議案件
今回このように分けたのは最近になってこの「造作に関わる稟議案件」の取扱いが変わってきたと感じるからです。
それぞれがどのような内容なのかを簡単ではありますが紹介してみたいなと思います。
構造体に関わる稟議案件
こちらは家の性能を維持する構造体に関わる作業をお願いした際に出てくる物になります。
これは一条工務店さんの家でも特にi-cubeやi-smartなどの2×6工法の場合に多く関わってくるものかなと思います。
しかしセゾン系の軸組工法でも同じようにその懸念は出てきます。
構造体とは?
構造体とは家を作る時に図面でいうと0.5マス毎に配置されるものです。
取り付けたいと思った物が何かしらの要因でこの構造体に関わる「可能性」が出てくるとこれは間違いなく稟議案件になると思います。
構造体に関わる稟議案件の例としては
- キッチン設備(換気扇やキッチン)を取り付けたい
- 標準外水栓を取り付けたい
- 内側の壁をくり抜いて造作を作りたい
簡単に言うとこのような壁の造作に関わる例が挙げられると思います。
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キッチンでの一例
例えばキッチン設備に関しては取り付けに伴いダクトや水道管の取り回し位置が一条工務店さんの標準設備とは変わってきます。
標準品以外の換気扇を取り付けようと思った場合に排気ダクトの位置が標準品とは違いますよね。
その排気ダクトが構造体に関わらないように設置出来ることを設計士さんは図面として書き出して証明する必要があります。
しかし排気ダクトの設置位置の関係でビルトインIHの真上に設置ができずに数センチだけ位置がズレた形で設置する必要があったりします。
これはあくまで一例ですよ!
このような状況を含めて施主さんが承諾をした上で稟議を上げてもらい承認してもらうという作業が必要になるのです。
壁に何かを埋め込むような一例
標準的なリモコンニッチではなく造作のニッチを作成するなどの壁への造作を行う作業。
これは軸組工法(セゾン系やブリアールなど)では可能な例が多い一方で2×6(i-cubeやi-smart)では通常は不可能な作業になります。
こちらはブリアールの袖壁に設置された埋め込み装飾です。
ニッチに関わらずこのようなデザイン製の高いものを壁に埋め込んだりする作業に関してもi-cubeやi-smartでは稟議対象になりそうです。
これは定かではありませんが2×6工法では耐力壁の存在があったり、壁の内部の配線の取り回しなどの計画によりその自由度がかなり奪われるからなのかな?と思います。
配線を通す穴を開けたりする程度は良いと思うのです。
しかし壁を大きく書こうしたり貫通させたり構造体を跨いでの作業が出ることに関しては基本的に全て稟議案件になるのかなと思います。
まさに家の躯体に影響が無いことを証明する事が必要になるからなのかなと思います。
こんな事が稟議なの?と思われる事もあるかと思いますがその多くは家の性能を確かに担保するための確認作業である事が多いかもしれませんね。
造作に関わる稟議案件
一方で構造体には関係なくとも稟議になる案件がこの造作に関わるものかなと思います。
ある程度決められた規格の中で作られる一条工務店の家。
建築数も多いですからマニュアルに従い同じ作業をすることで家の出来栄えの均一化・効率化を図っているものと思います。
しかしその規格化された作業ではなく特別な作業をする事を嫌い稟議として採用させないようなものも多く見られました。
造作稟議の一例
このような稟議の例としては
- コープ照明などの一部建築化照明
- 造作の棚などの施工
- その他の大工さんなどの標準作業外になるもの
などが挙げられるのかなと思います。
特にも最近よく見られるのは最新の展示場において今まで稟議案件であったような造作を採用し積極的に公表しつつもあるという事です。
構造に関わる稟議については躯体の性能を担保する意味から重要性は変わりません。
一方で指定外作業である造作に関わる稟議に関しては「見栄え」を優先する物に関してはかなり緩和されてきていると感じます。
これは「家は性能。」というキャッチコピーをもとに販促をしてきた一条工務店さんが性能だけでなくそのデザイン性について訴求し始めた結果なのかなと思います。
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造作に関わるものであれば何でも出来るというわけでは決してありませんよ。
しかし一部作業においては可能である作業も出てきているということです。
標準作業を逆手に取った押入収納
一方でこれが稟議じゃないの?という作業もあります。
我が家の造作押入れに関しては通常の作業よりもかなり手間がかかる作業によって出来ています。
しかしこれは棚の高さなどを設定することが出来るように「施工指示」があればしっかりと対応してもらえる事を逆手に取った作業になります。
腰壁や棚板の位置変更など全て他の場所で採用されたりする物を使っての作業になります。
このようにそもそも位置設定が出来る事を使ってのお願いに関しては設計さんのお手間は掛けるものの稟議などの対象にはなりません。
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稟議の際に営業さんや設計さんがすること
稟議案件の際には営業さんや設計さんはどのように動くのでしょうか?
私が設計時に聞いたお話によると流れとしては
- やりたい事が出来るかどうかの確認
- 稟議書の作成
という事なのですがその内容が本当に大変そうでした。
先程もお伝えしたとおり取り付けたい物が構造体に関わりが無い事をしっかりと設計さんがCAD図面などでその内容を計画・確認する必要があります。
また一般的には出来ないこと事をお願いする事になります。
ただ施主さんがどうしても取り付けたいと言っています!と書くだけでは稟議は通らないと聞いています。
そんな事を言ったら誰でも取り付けたい!が通じることになってしまいますからね。
その設備を採用したり造作をする事に対して施主さんが
- どのような理由があって
- どのような思いがあって
- 結果的にこの方法をとるしかない
というような事をしっかりと説明する必要があると聞きました。
ここがポイントですよね。
あの人が出来たから私も出来る!が通じない理由のひとつがここにあるんだなと理解できました。
思ってもみなかった作業が実は稟議だった!という例が私にもありましてね。
キッチン換気扇のダクトによる天井下り。キッチン天井全体を下げてコープ照明を設置するとか以前は採用が難しかったはずですよね。
という風に私の営業さん・設計さんは本当によく頑張っていただいたと思い感謝でいっぱいです。
大変な稟議作業
このように稟議を通すには大変な作業を伴います。
それと共に
という疑問や矛盾も出てくるわけですね。
これはその稟議を提出する資料などの作成能力や、そもそも作業自体をしてくれるのかなどによる所があるのかな?という個人的な意見です。
手間も苦もあるとは思えどしっかりと対応してくれる担当の方は居るわけで、その担当の方によりこの稟議に関わる作業の可否は大きく変わると思っています。
またこれが稟議を通してくれる、対応してくる営業さんとそうでない営業さんの差となって施主さんの不満点となる場合も多いように感じます。
まとめ
稟議と一口に言ってもその内容には色々な物があります。
まずはその稟議という物がどのような性質から稟議になるのかをしっかり把握する必要があるのかなと思います。
またその稟議を通すにあたっても書類作成などの仕方によっては通る場合と通らない場合があること。
ここはしっかりと理解する必要があるのかなと思います。
あくまで通常は出来ないことをお願いしているのです。
そこは施主さんもしっかりと理解することが必要かなと思うんです。
その上で営業さんや設計さんは最初で最後の家づくりの方かもしれないその施主さんの希望を叶えるために頑張ってほしいなと思います。
稟議関係においてはそもそも採用が不可能であったり場合により出来たりする例もありここでは紹介しきれません。
追ってそういった例も紹介させて頂きたいなと思います。