- タンクレストイレって壁にくっつくからタンクレストイレじゃないの?
- 図面で壁に付いてるのにどうして空間が空いてるの?
という驚きの声をよくお聞きするんですよね。
今回は設計時から壁に付くはずと思い計画していたタンクレストイレが家が出来上がってみると壁に付いていなかったという失敗事例を紹介したいなと思います。
アラウーノの事例を元に紹介をさせて頂きますがタンクレストイレ全般の問題というか注意点なのかなとも思います.
アラウーノを取り付け予定の方だけでなく新築やリフォームに伴ってタンクレストイレをご検討中の方是非読んで頂きたいなと思います。
これにより図面やカタログの紹介に惑わされずしっかりとトイレの設置位置を検討できるようになるのかなと思います。
間取り設計失敗例シリーズのおことわり
この記事の目的は間取り設計時に気づきにくい問題点を改めて確認する為の物です。
過去に建築された方などの事例や実際に住んでからの失敗・後悔点を参考にしてその問題点を確認するためのものです。
また過去事例にとらわれず、間取り設計中に気をつけたいポイントなども紹介していきたいと思っています。
紹介する内容については成功・失敗の捉え方が人により変わる点もあります。この相違は生活習慣の違いだったり感性の違いなどにより発生するものです。
失敗と思わない方も人によっては問題点と捉えかねない事案であるという事でご了承下さい。
これにより紹介した方を蔑んだりするような意図が全く無いことを予めご了承下さい。
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タンクレストイレ・アラウーノシリーズ
今回の事例はタンクレストイレ全般に言えることです。
事例紹介の主役としてパナソニック製のアラウーノというタンクレストイレを中心にお伝えしたいなと思います。
今までのトイレにはない新しい技術が取り入れられたトイレですね。
一般住宅に採用されるモデルとしては大きく分けて3種類なのかなと思います。
- 新型アラウーノ タイプ1
- 新型アラウーノ タイプ2
- アラウーノ SⅡ
アラウーノVというモデルもありますが恐らくほとんどの方がこの3種類から検討されるのではないかと思います。
特にもアラウーノSⅡに関しましてはその標準機能に対して価格がかなりお手頃になっています。
その為に気軽に採用される方もとても多いトイレではないかなと思います。
図面では壁付けになっているトイレ
まずは一条工務店さんで計画時に使うこの図面をご覧ください。
こちらのトイレはしっかり壁についている表記になっていますよね。
よくよく考えると私の建築した一条工務店の図面表記でトイレはこの1種類しかないのかな?とも思います。
フランジャイズの一条工務店さんなどで違う図面ソフトを使われている場合には違う表記もあったりするのかな?
タンクレストイレでもタンク有りトイレでも私が拝見する分には恐らく同じ表記じゃないかなと思います。
施主さんは壁付けが希望だった
今回の事例を紹介してくださる方々はいずれもトイレを背面の壁につける事を希望していらっしゃいました。
施主さんは設計時に何度もトイレ壁との間に空間が開かず壁にくっつく事を設計さんおよび営業さんに確認をされていたそうです。
加えて図面を見てもトイレ表記が壁についていることからすっかり安心していたようです。
上棟後にトイレ壁との間に隙間を発見
さて無事に上棟を終えて家がどんどん出来上がる工程でその異変に気づきます。
このように見事にトイレ壁との間に空間がありますね。
これに気づいた時はさぞ驚かれたことと思います。
原因は換気扇の高さ設定
今回タンクレストイレとトイレ壁との間に空間が出来てしまった原因は換気扇の高さ設定にあります。
このように図面を見るとトイレ換気扇の高さ設定がH=250という記載がされています。
トイレ換気扇が下に設置されているためにトイレ壁との間に空間を作らなければならず、結果としてタンクレストイレをトイレ壁にくっつけて設置出来ずに離れてしまったんですね。
換気扇の高さ設定の確認
間取り相談を受ける際に換気扇の高さ設定は出来るだけ確認する事にしています。
多くはこの事例が起こらないように位置設定が下になっていないか?を確認することになります。
しかし施主さんにその高さ設定を確認しても図面から換気扇の高さがどのように表記されているかを分からない方が結構いらっしゃるんですよね。
このように必ず図面上に記載があると思いますので図面が届く度に必ず確認されて下さいね。
図面が届く度に突然高さが変わっていたりしますので注意が必要になります。
トイレ換気扇は3パターン
一条工務店さんでトイレの計画をする際に換気扇を設置するには大きく分けて3パターンがあると思います。
トイレ壁の下に設置パターン
何度も紹介しますがこのようにトイレ壁の下部に設置されるパターンです。
注意が必要なのが一条工務店さんではデフォルトでこのようにトイレ壁の下、足元に換気扇が設置されるようです。
足元に換気扇が設置される理由
足元に換気扇が設置される理由は色々語られています。
一説には臭気は空気より重いために下に設置したほうが効率が良い説でしょうか。
足元に換気扇が設置されるメリット・デメリット
まずはお掃除などの際にアクセスしやすそうに見えますよね。
一方でアクセスしやすそうに見えて実のところ1マス幅トイレだと便器が邪魔で意外とお掃除しにくくかったりするようです。
唯でさえ狭いスペースですからね。
特にも体格の良い方などは結構大変ではないかと思います。
また換気扇が稼働している時に小さなお子さんが指を入れると怪我をする恐れがあります。
こちらの換気扇の注意書きには標準設置位置として壁の上部が指定してあり下部への設置は推奨されていないことも合わせてお伝えしたいなと思います。
トイレ壁の上に設置パターン
トイレ壁の上部に窓や収納などが無ければ換気扇を設置することが出来ます。
先程もお伝えしましたようにトイレ壁の上部が本来の設置されるべき位置なのです。
我が家ではこのタイプの換気扇が設置されていませんので確認が出来ませんが製品HPから見れる取扱説明書を見ると
- この製品は高所取付用である
- 床面から1800mm以上のメンテナンス可能な位置に設置するこ
- とシャッターや羽に触れて怪我の恐れがある
という注意書きなどが確かに書いてあります。
この事からも本来はトイレ壁の上部に取り付けるべき換気扇のようですね。
トイレの天井に設置パターン
トイレの形状や間取りの配置によりトイレ壁からの換気が出来ない場合があります。
その場合は天井に換気扇を配置しダクトを通して外部に換気する事が出来ます。
先程までトイレ壁に設置していたような高さ関係のトラブルは無いのかなと思います。
しかしダクトを配置する外壁面までのルートの天井が下がってしまう弊害があります。
何か条件などがあるかもしれませんので気になる方は設計士さんなどに相談されると良いと思います。
アラウーノの標準施工
実は一条工務店でアラウーノを施工する際の施工指示的な物が存在します。
関連 アラウーノの標準施工
こちらは我が家で採用した新型アラウーノタイプ1の資料です。
左下に書いてあります注意書きには
【局所換気がトイレ背面に計画される場合】
干渉を避け、120mm程度壁面から離した寸法になります。
と書いてあります。
つまりこの指示通りでいくと換気扇がトイレ壁の下に配置されるパターンの場合はどうやってもトイレを壁付けにすることは不可能ということになります。
そもそも換気扇と接触するので物理的に難しいお話なのですけどね。
間違った施工をされてしまった場合の対処法
今回の事例のように設計士さんや営業さんなどに「トイレが壁に付くか?」をしっかり確認していて大丈夫だと言われていたのに結果的に壁から離れて施工されてしまった場合はどうなるのでしょうか?
一般的に多い1マス×2マスサイズのトイレの場合は妥協という選択肢があるのかもしれません。
しかしどうしても譲れない場合もあるのだと思います。
関連 気まぐれ☆Ai-smart Web内覧会 -1階トイレ-
こちらの記事を書かれているおぜんさん宅の1階トイレは1マス×1.5マスというサイズになっています。
設計時からその広さには十分留意してらっしゃったようです。
そしてアラウーノが壁付け出来るので何とか大丈夫かな?という事で設計さん・営業さんと打ち合わせを進めていらっしゃったようなのです。
しかしながら換気扇の取り付け位置を下にしてしまった事でタンクレストイレと壁との間に空間が出来てしまい用をたせるスペースが狭くなってしまったようなのです。
そしてそのような施工になるという本来持っているべき知識を設計さんも営業さんもお持ちでなかったんですね。
1マス×2マストイレであれば何とか妥協が出来たのかもしれません。
しかし1マス×1.5マストイレではスペース的にかなりシビアな判断になるのだと想像が出来ます。
結果的に一条さん側が非を認める形になったのかな?トイレを壁につけることは出来ませんがギリギリまで移動をしてくださったようですね。
こちらに経緯を説明されている記事がありますので宜しければご覧ください。
数センチの移動ですがこのサイズのおトイレにしてはかなり大きな変化だったのではないかと想像できます。
また確認を取ったわけではありませんが恐らくトイレの排水口の位置も移動しているのではないか?と思います。
なので作業的にはかなり大変なものだったのではないか?と思います。
このような事例もありますので同じように確認をした上で壁付け予定のはずが換気扇で壁に付かなかった!そしてどうしても位置を移動したい!という方は、工事などに手間は掛かりますが再度相談されてみる価値があるのではないかと思います。
タンクレストイレを壁付けをしたくない人もいる
アラウーノなどのカタログには壁付けの状態で商品紹介がされているものがほとんどです。
タンクレストイレの形状やメリットからも基本的には壁につける設定になっているのでしょう。
しかし我が家ではトイレ裏のお掃除を目的にわざと壁から離す施工をお願いしました。
関連 アラウーノの標準施工
こちらの記事でも説明しましたが我が家ではアラウーノを壁から離すために背面カウンターがある前提でのトイレの位置設定をわざわざ施工連絡表に書いてもらい壁から離してもらいました。
換気扇が無い状態では基本的に壁に設置されるはずのアラウーノです。
壁から離して欲しいという私の要望も何も図面で指示がなければきっと壁についてしまったのではないかと思います。
トイレの排水口の穴は現場で開けるわけではなくフィリピンの工場で既に開けられて運ばれてくるはずです。
よってこの指示に関しては現場でどうこうなる物ではないのです。
我が家のトイレは今までに紹介しました通りかなり広い方だと思います。
壁についていても掃除は容易な方だとは思うのです。
しかしやはり離れていたほうが普段からのお掃除もかなり楽な事に変わりはありません。
壁に付けないほうが良かったというコッタさんの例
こちらもアラウーノを使われているコッタさんの記事から紹介させて頂きますね。
アラウーノ本体からの水漏れ故障があったようですね。
故障自体はしっかりと対応して頂いたようですがトイレと壁の隙間が無かったことから少しだけ大変な思いをされたようですね。
こんな事例をみて壁から離れていたほうが良いなと思った方は私のようにしっかりと設計さんに伝えて壁から離してもらえるように指示をお願いした方が良いのかなと思います。
まとめ
今回のトイレが壁についているはずなのにつかなかったという事例に関しては直接的な原因としては
- トイレが壁付けされる場所に換気扇があるので物理的に壁付け出来ない
という凄く単純な理由かなと思います。
しかし間接的な原因としては大きく分けて3つの理由があるのかなと思います。
- 図面表記がタンク付き・タンクレスを問わず壁についているような表記である
- 換気扇が下についていてもトイレの図面表記は壁についている
- 設計さん・営業さんが気づかないと何事もなく壁から離れて施工される
特にも3番目に関しては既に施主が気付ける範疇を超えていると思います。
なにせ図面からもどこからも壁から離れるという情報が無いのですから。
そしてこの事例でトラブルが発生する際の原因のほとんどは、設計さんや営業さんが換気扇取り付け位置とトイレの設置位置のルールに気づけない・知らないという理由に起因していると私は思います。
タンクレストイレを壁付けにする・壁から離すという選択は見た目や作業性などの違いからどちらを選ぶかは人それぞれかと思います。
対応策としては換気扇は下に設置しなければ間違いはないということです。
そもそも換気扇は下に設置することを前提に作られていないようですしね。
そしてこの記事をご覧になられた設計中の施主さんにも覚えておいて頂けると嬉しいなと思います。
さらに壁から意図して離したい場合にも特別に位置を指定しないとタンクレストイレでは壁に付いた状態で設置がされてしまう可能性があるということを加えてお伝えします。
今回はアラウーノの事例を紹介しました。
しかし壁に付けられない原因が換気扇が存在するために物理的に設置できないという理由からタンクレストイレ全般にいえる注意事項なのかなと思います。
トイレの設置位置に拘りのある方は「こうなると思ってた!」を捨ててしっかりと確認作業をされる事をお勧めします。
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