今回の間取り設計失敗例はコンセントの失敗例になります。
コンセントの取付位置に関しては失敗・後悔例というのが沢山聞こえてきます。
基本的なパターンはあるもののこればかりは使う人や使う物や家電品の配置などにより千差万別。
◯◯に取り付けると良いなどというのはあくまで参考例であり教科書的な設置位置は無いものと思っています。
今回は設計士さんによってはまだ「取り付けが出来ない」と言われる事がある「窓枠下のコンセント」についての失敗例について紹介したいなと思います。
これは未だ私に問い合わせが続く案件になるんです。
それだけ出来ないと言われる人が多いんだなと思うんです。
事情を知らない方が設計士さんに言われるがままに出来ないんだと思い込み同じような後悔をして欲しくないなという思いからこの記事を書かせて頂きます。
間取り設計失敗例シリーズのおことわり
この記事の目的は間取り設計時に気づきにくい問題点を改めて確認する為の物です。
過去に建築された方などの事例や実際に住んでからの失敗・後悔点を参考にしてその問題点を確認するためのものです。
また過去事例にとらわれず、間取り設計中に気をつけたいポイントなども紹介していきたいと思っています。
紹介する内容については成功・失敗の捉え方が人により変わる点もあります。この相違は生活習慣の違いだったり感性の違いなどにより発生するものです。
失敗と思わない方も人によっては問題点と捉えかねない事案であるという事でご了承下さい。
これにより紹介した方を蔑んだりするような意図が全く無いことを予めご了承下さい。
窓枠下のコンセントは設置出来ない!?
家の工法の違い
我が家で建築をした一条工務店さんには大きく分けて2種類の構造をもった家のラインナップがあります。
軸組工法(在来工法)
- セゾン系
- ブリアール系
- アシュレ系
- ファミーユ系
- 和風百年系
これらは一条工務店さんのラインナップの中でも昔からあるものです。
間取り設計の自由度の高さは魅力ですよね。
多くの設計さんも昔から馴染みがあるものでしょう。
2×6(2×4)工法
軸組工法に対して新しい工法がこちらになりますね。
- i-cube
- i-smart
- i-palette(分譲住宅)
こちらの工法に関しては発売してから10年足らずになるのでしょうか。
軸組工法とは違い総2階が原則だったり2×4独自のルールがあったりするわけです。
よって軸組工法と比べて出来る事と出来ない事の違いも多いわけです。
窓枠下に設置出来るか否か
これら2種類の工法により窓枠の下にコンセントを設置できるかどうかに違いが出てきます。
- 在来工法→設置✕
- 2×6工法→設置◯
在来工法は構造的に窓枠の下にコンセントの電源ケーブルを通すことが出来ません。
一方で2×6工法の場合はそれが可能なので窓枠の下にコンセントを配置出来るのです。
しかし従来から馴染みのあった在来工法で出来なかった窓枠下コンセントの配置が2×6工法の家でも出来ないと言って断る設計士さんが未だに居るようなんですよね。
これが窓枠の下にコンセントを配置した証拠になる写真です。
配線は窓枠を支える構造体に穴が開けられて通っているようです。
こちらは図面上でもにこのように窓枠の下に記載されています。
この施工は特別に対応してもらった物とかではなく普通に設置をお願いして作ってもらったコンセントです。
POINT
もしも出来ないという設計士さんが居ましたらこの写真でも見せてみると良いと思います。
窓枠下コンセントのデメリット
窓枠の下にコンセントを設置するデメリットはただ一つ。
断熱材を余計に削ってしまうので家の断熱性能を落としてしまう。
という事なのかなと思います。
なぜ断熱材を削らないといけないの?
これは簡単な理屈です。
コンセントを配置するにはケーブルを天井から引っ張ってこなければなりません。
建築済みの方はよく分かると思うのですがケーブルは全て天井から壁を通ってコンセントへと配線されるのです。
しかし窓枠の下にコンセントが有る場合はそのケーブルは窓を迂回しなければいけませんよね。
よって窓の下を移動する分だけ余計に断熱材を削ることになる訳です。
POINT
設計士さんが窓枠の下にコンセントを取り付けできないという理由にこの「断熱材を削りたくない」という隠れた理由がある場合があるかもしれませんね。
断熱材を削るとどれだけ性能が落ちるの?
実際に断熱材を削った場合にどれだけ性能が落ちるのでしょう。
そもそも家の中で熱損失が大きい場所というのはどこになるのでしょうか?
家がどれだけ熱損失を起こすか?というのはQ値というもので示すことが出来ます。
こちらはフエッピーさんが我が家のQ値を計算して下さった記事になります。
詳しい見方などはフエッピーさんの記事を読んで頂ければと思うのですが簡単に説明しますとね。
このように我が家の中で熱が逃げる場所の割合(%)を示したのがこちらになります。
- 天井 16%
- 壁 21%
- 床 17%
- 窓 13%
- 換気 19%
これらの場所で全体の86%の熱を損失することになるようです。
一方でその面積に占める割合を見てみますと。
- 基礎底盤 251%
- 窓 212%
- 玄関ドア 563%
という場所が特にも熱損失が大きい場所であることが分かります。
やはり窓と玄関ドアは寒さの大きな原因になりますね。
一方で今回問題になっている壁(外壁)に関しては
- 壁 64%
という事でもちろん外壁というのは面積が広い訳ですが比率でいうとそこまで大きな熱損失があるわけでは無いようです。
窓枠の下にコンセントを配置する為に横方向に断熱材を削ったことで断熱性が落ちることに間違いはないと思います。
しかし家全体の中で考えた時にもっと対策が必要な場所はあるわけです。
そしてそもそも外壁に設置したコンセントはすでに多くの断熱材を削っています。
このように外壁に設置したコンセントは窓枠の下に潜り込まなくても既に多くの断熱材を削っているのです。
よってコンセント配置が生活において利便性に直結するのであればそこまで過敏に考える必要はない。
むしろ生活の満足度として考えた時にはコンセント配置を優先すべきではないか?という事です。
CHECK
玄関ドアの断熱性がどれだけ重要かよくわかったと思います。ドアを含めた玄関ホールへの対策は床暖房使用時の快適性に大きく関わってきます。
後悔ポイントは主寝室のコンセント
前置きがかなり長くなってしまいましたが今回の間取り設計失敗例は主寝室に設置したコンセントになります。
皆さんは携帯電話やスマートフォンの充電はいつされますか?
私は夜寝る時に充電する事が多かったのでどうしても枕元にはコンセントが欲しかったんです。
またPSVITAなどの携帯型ゲームをする際にも電源の確保は必須です。
CHECK
我が家ではスマートフォンなどの充電はニッチではしない!と思い人気のリモコンニッチをあえて設置しませんでした。
図面を確認
まずは主寝室の図面を見てみましょう。
こちらの部屋には畳に布団を敷いて寝るように計画をしました。
ベッドはもうちょっと年老いてから使うかもしれませんね。
このように寝た際にコンセントが出来るだけ近くにあるように設計をしました。
失敗したのはこちらのコンセント
今回失敗したと思ったのはこちらに設置したコンセントになります。
妻が使うコンセントは枕元の最寄りにありますので全く不自由は無いようです。
しかし私が使えるように設計したコンセントが失敗だったのです。
失敗したと感じる理由
こちらで毎晩スマートフォンの充電をしようと思いコンセントにケーブルを刺す度に思うんですよね。
微妙に遠くてケーブルが届かないんです。
妻の使うコンセントはこのようにベストポジションなんです。
しかし私の使うコンセントが微妙に遠いんです。
どんな風に遠いかというと。
私の使っている新しいタイプCという規格の1.5メートルのケーブルでこんな感じです。
以前のUSBケーブルの規格では2.5メートル長のケーブルもあったので良かったんですけど新しいタイプにはまだ出てないようなんですよね。
布団に寝転がって充電しながらスマートフォンを見て見れないことはないのです。
しかしそのまま寝返りをうったり出来ないんですよね。
もうこれがなんとも言えずストレスなんですよ。
どうすれば良かった?
コンセントの位置をもっと枕元に近い位置にすれば良かったのだと思います。
この位置であれば現状の1.5メートルケーブルでも何とかストレス無く使えたのだと思います。
欲を言えば幅木の真上ぐらいの勢いでもっと低い位置だと良かったですね。
もちろんケーブルがもうちょっと長ければ問題ないのですけどね。
毎日の抜き差しを考えると延長ケーブルまでは使いたくない感じです。
設計時に気づかなかったの?
こちらはもちろん設計時に気づいていました。
しかし先程も伝えたように壁の断熱材を削ることから躊躇したのですよね。
ご覧頂いて分かるように我が家の主寝室南側の壁はそのほとんどが+782の3連窓で覆われています。
窓が室温に与える影響が大きいことは設計時から何となく感じていた事でした。
しかしこの場所はシーツなど大きな物の物干し場所として考えていたことから出来るだけ大きい窓が欲しいなと思っていました。
そしてこの面の壁はテレビを壁掛けなどする可能性を考えて壁補強をしてますので余計に断熱材が薄いんです。
よって現状でも断熱性に劣るこの壁の断熱材を更に削ることに設計当時は抵抗を覚えたのですね。
結果としていざとなったら延長ケーブルなどを使えばいいやと思いコンセント位置は窓枠下の枕元に作らなかったのです。
これが失敗の原因ですね。
もうひとつの失敗理由
ここにはもう一つコンセントに対して失敗したと思う事があります。
この場所は子供などが朝起きた時に暗闇の中を歩く事が有るのです。
その際に壁から出ているケーブルに足を引っ掛ける事があります。
躓いて転ぶのも危ないのですが実はスマートフォンの充電ケーブルを1年で2本ほど破損しました。
いやー寝ぼけて突然走り出したりしますからね。
今では気を付けて歩くようになりましたがそれでもまだ躓くことが無いわけではありません。
やはりケーブルを横切って通過する可能性のある場所はそれなりの対策をするべきでした。
失敗に対して対応策は?
今回の事例に関して考えた対応策は以下のとおりです。
コンセントの位置が遠い
これに関しては現状ではどうしようもありません。
延長ケーブルなどはゴツくて嫌なので使いたくないです。
なのでこれに関しては新規格の新しいケーブルのラインナップが増えるのを待つことにします。
ケーブルに足を引っ掛けてしまう
ケーブルに引っ掛けてしまう件については良い対応策がありました。
我が家ではこのようにケーブルに足を引っ掛けそうな場所に設置したコンセントがありました。
それはマグネットコンセントです。
ダイニングテーブルで電気製品を使う際には我が家の間取りの場合はどうしてもテーブルの周りからケーブルを引く必要がありました。
ダイニングテーブルで使う電化製品などは熱を持ったり上に鍋が載っていたりといざという時にかなりの危険を伴います。
よってケーブルに足を引っ掛けても危険を回避できるようにマグネットコンセントを採用したのです。
POINT
マグネット式コンセントの詳細はこちらからご覧ください。
こちらダイニングキッチンに採用したマグネットコンセントは設計時から取り付けなければなりません。
今回のように既存の普通のコンセントが有る場合には壁から出っ張りますがこのような後付のマグネットコンセントを取り付けることが出来ます。
マグネットコンセントは2個の部品で出来ています。
本体を既存のコンセントに差し込みまして。
コンセントを差し込んだこちらの部品をマグネットで接続するようになります。
スマートフォンのケーブルを差し込んだ状態ではこのようになります。
また万が一ケーブルに足を引っ掛けた場合にはこのように自然にマグネットが外れてくれます。
コンセントが出っ張るというデメリットがあるもののケーブルを破損する事もないですし電気工事の資格がない場合には一番手っ取り早い対応策かなと思います。
POINTケーブルを差し込む部品だけを単品で取り寄せることも可能なので頻繁に抜き差しするコンセントには挿しっぱなしにしておいても良さそうですね。
まとめ
今回の間取り設計失敗例は断熱材を削ることを躊躇したために毎日の生活に直結するコンセント位置を誤った場所に取り付けてしまった事例を紹介しました。
ポイントとしては
- 窓枠下のコンセントは家の構造によって設置が可能である。
- 2×6工法の家で設置が可能でも出来ないと言われる事があるが基本的には可能である。
- 生活に直結する重要なコンセントであれば断熱材を削ることは気にしない方が幸せになれそう。
という事かなと思うのです。
コンセント計画というのは間取り設計の中でも終盤に訪れる重要ポイントです。
- 間取りや住設選びなどに終止し頭が疲れ切っているようなタイミング
- 打ち合わせも終盤に近づき期限を迫られている中での計画
- 予算面の見通しが見えてきて多くがオプションを削る作業に取り掛かる時期である
こんな事から妥協することが多くなり結果として家に住んでからの後悔ポイントになることも多いように感じます。
多くの方がこう言うんですよね。
たった数千円をケチった為にこんな事になってしまった。
コンセントの設置位置は使う人によって千差万別ですので最適解が無い物です。
設計中の方はもうひと頑張り頭を働かせて打ち合わせを頑張りましょう。
家を建ててからの満足度に大きく関わるポイントですよ。
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