全館冷房をする際に、梅雨時期は運用が難しい季節です。
コツを掴めずにエアコンを上手く動かせず、室内が冷え過ぎて失敗する事も多いと思います。
この記事では、梅雨時期に全館冷房を開始する時に戸惑い失敗しがちなポイント。
- 春~梅雨時期の全館冷房の失敗例
- 再熱除湿運転と冷房運転の使い分け
- フィルター増しの注意点
というポイントについて、簡単にまとめてみたいと思います。
全館冷房初心者の方は、難しいことを考えずにもっと再熱除湿運転を活用すれば良いと思いますよ♪
全館冷房の基本
全館冷房の基本は本当に簡単なことです。
室内よりも除湿されて乾燥した空気がエアコンから出ていればそれだけでOKです。
その為に最低限必要なのは
- 室内の絶対湿度が分かる温湿度計
- エアコンから出ている風の湿絶対度が分かる温湿度計
であり、それぞれの「絶対湿度」の量を比べるだけです。
欲を言うと外の絶対湿度量も分かると、家の中がこれから湿気ってくるのかどうかが判断しやすいです。
その「絶対湿度の量」を簡単に見る為に必要なのが「みはりん坊W」です。
関連 【24時間冷房実践編】一条工務店の平屋をエアコン1台で全館冷房する為に歩んだ設定の道・手順の紹介
しかし冷房運転だけでは、思ったように除湿された冷気が出てこない場面も多いんです。
その為にエアコンをしっかり動かして「除湿」させる為に、色々な準備やコツが必要なわけです。
それではエアコンを稼働し始めてから梅雨を乗り切るまでに、全館冷房で必要なポイントと注意点を確認していきましょう。
梅雨時期の全館冷房の失敗例
地域によってはゴールデンウィーク前後から気温が上昇し、エアコンを使いたくなる方もいらっしゃるでしょう。
全館冷房を前提とした間取りや計画をした方は、早い時期からエアコンにて室温・湿度の管理ができる事でしょう。
しかしここに落とし穴があります。
そのままの勢いで本格的な梅雨の時期に突入した際に陥る失敗例。
朝起きたら室温が一気に下がってる!!寒いんだけどエアコンは切りたくないしどうしよう!
という方が出てくると思います。
この原因は主に、日差しの有無と外気温の低下を読み違える事にあると考えています。
梅雨時期は日差しと外気温が安定しない
ゴールデンウィーク前後から暖かくなる事はあっても、毎日が暑い訳ではないと思います。
そしてそれは梅雨時期も同じ。
- 気温が高めだが曇りで日差しが無い
- 朝晩だけは冷え込む
このように周期的に寒暖差が激しい時期でもあるはずです。
そんな時に昼間の暑さで大丈夫だと勘違いしてエアコンを「冷房運転」で稼働していると、あっという間に室温が下がってしまう事があります。
そしてこれが梅雨時期の失敗例の多くを占める事例。
一度下がった室温は、全館冷房をしたままでは元に戻りにくいという事です。
室温が下がるのはあっという間
我が家の経験でいうと、
- 普段は室温23~24℃で維持していたのに
- 朝起きたら21~22℃まで下がってて寒い
- 冷房やドライ運転では室温が戻らない
という事が、全館冷房を始めた当初は有りました。
そしてそんな室温が上がらない時期は数日続くことが多いんです。
結果として多くの方は
- エアコンを一度消す?このまま続ける?
- 消すにもカビ防止で送風運転する?
- 部屋が寒いから暖房しちゃおうか?
- 室内の湿気が上がっちゃうよ?
という負のループに陥るはずです。
このように一時の室温の上昇で全館冷房を開始する場合に、室内の冷やしすぎ(オーバーラン)をしてしまうんですね。
これが梅雨時期の全館冷房に多い失敗例です。
このような思いがけない室内の冷やしすぎ(オーバーラン)を防ぐには、どうしたら良いのでしょうか?
全館冷房初心者は無理せず再熱除湿を使おう
エアコンの運転方法には冷房運転とドライ運転があります。
そしてドライ運転でも「再熱除湿」を使えるエアコンを使いましょう!というのは高気密高断熱住宅では基本になります。
もちろん電気代を考えると
- 再熱除湿ドライ>冷房運転
であり、冷房運転が出来れば電気代は節約できる事に間違いありません。
一方で梅雨時期の室温の維持のしやすさは圧倒的に
- 再熱除湿ドライ>>>>冷房運転
である事に疑いはありません。
だって再熱除湿ドライ運転は出てくる風がそこまで冷たく無いんですから。
室温が下がるタイミングは経験で覚える
突然に室温が下がってしまう要因はいくつもあります。
- 昼間の最高気温と朝の最低気温
- 日差しの有無とその時間
- 日除けシェードの有無
- 室内がどれだけ熱を溜め込んだか
- 外壁がどれだけ暖まったか
- 家族の在宅時間
慣れてくればこれらを複合的に考えて、室温が下がるかな?と感じることが出来るでしょう。
これはですね、決して誰かの真似をして出来ることではないのです。
皆さんお住まいの地域や家や間取りや環境によって変わるんですから。
私も2~3年経ってようやくコツを掴んできたところです。
その結論として、失敗したくない人は無理に冷房運転の全館冷房にこだわらないということです。
少しぐらいエアコン代が掛ったって快適なら良いじゃないですか。
せっかく快適な家で暮らしたくて立派な家を建てたんですから。
私がアドバイスできる、梅雨時期の全館冷房を失敗させないコツは
- エアコンを常時稼働させるなら再熱除湿ドライが基本
- 再熱ドライで室温の上昇が止まらない時に初めて冷房運転にする
- 夜間は決して冷房運転のままにしない
- 天気予報が思わしくなければ、それを見越して部屋に熱を溜め込んでおく
簡単な事ですがこれで余程の外気温低下が無い限りは、室温が予想外に下がるオーバーランは防げると思います。
室内に熱を若干溜め込んだ状態であれば、少しぐらい外気温が下がったりしてもすぐに室温が下がることはありません。
ある程度一定の設定温度の再熱ドライ運転で、室温がどのように変わるのか観察してみましょう。
そうする中で冷房運転に切り替えても良いタイミング、きっと覚えてくる事でしょう。
日除けシェードの設置可否は気候を見て判断
また我が家のポイントとして、日除けシェードの使い方のポイントがあります。
やはり春先は、気温よりも日差しの有無が室温に及ぼす影響って大きいです。
なので我が家では、シェードは設置したらそのままではなく
- 4~5月:気温が上がり日差しが出てきたらシェード設置
→室温上昇を抑える
→エアコンなし - エアコン稼働開始:シェードを取り外す
→室温上昇しやすく
→エアコンが動きやすくする - 梅雨時期:シェード取り外したまま
→夜間の室温低下に備えて昼に室温を上げる - 真夏時期:シェード設置
→日差しを抑えて室温上昇を防ぐ
→全館冷房全盛期
という段階を踏みます。
全館冷房の基本が分かっている人や間取りなどを考えていた方は、初年度から冷房運転でも運用が出来る方もいらっしゃると思います。
しかし誰もがそんな事が出来るわけではありません。
一般的にはシェードなどの日除けを併用しつつ、再熱ドライ運転を基本として考えてみてはいかがでしょうか?
いかに電気代を減らすか?は大切なことです。
しかし誰もが出来る「快適な暮らしやすさ」とは別の話です。
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我が家も最初は出来るだけ冷房運転!と思っていましたが、結局は再熱除湿ドライで運用してます。無駄な切り替えをすることなく気を使う事も無くとっても楽チンですよ♪
フィルター増しは必須ではない
エアコン全館冷房において除湿量を増やすために有名な方法が、「エアコンフィルターを使って除湿量を増やす」という事です。
もちろん我が家でも採用しております。
我が家は平屋で全館冷房を想定してない間取りであり、Rayエアコンという大型エアコンを使用しています。
我が家のRayエアコンは再熱除湿ドライが採用されていた当初のものです。
そのような悪条件で室温を下げ過ぎずにエアコンでの除湿を促すために、最後の最後にフィルター増しという手段を取りました。
しかしながらInstagramなどを見ると、このフィルター増しの本当に意味をしっかり理解せずに採用しているように思える方が見られます。
エアコン全館冷房の基本は
- エアコンから出る冷気の絶対湿度が
- 室内の絶対湿度より低い状態を作って
- 室内の湿気った空気を除湿すること
- その状態で室温が下がりすぎないように維持が出来る事
という事が基本になります。
我が家では平屋という悪条件の為に、絶対湿度が室内よりも低い冷風を出すと室温が下がりやすいのです。
普通にエアコンを稼働して除湿した冷風を出せて室温が下がらない方は、フィルター増しなんてする必要ないんです。
繰り返しますね。
全館冷房を前提にして吹き抜けなどの一等地にエアコンを設置できた方は、フィルター増しなんてしなくても大丈夫な方も多いはずなんです。
2階建て&吹き抜けの大空間でエアコンを安定的に稼働できるはずなんですから。
なので、本当の目的を見失って闇雲にフィルター増しはして欲しくないなと思います。
- 勾配天井のない平屋だったり
- ボックス階段の2階ホールだったり
- エアコン周りにスペースが少なかったり
エアコンが動かない(サーモオフ)しやすい厳しい条件でエアコンで除湿が進まない時には、どうぞフィルター増しを試してみましょう。
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フィルターを設置する事はエアコンの汚れ防止フィルターがあったりするぐらいなので、悪いことではないと思います。
しかし過度にエアコンへの空気に流入を制限することは、決して良いことではないと思っています。
〇〇枚マシました!〇〇で塞ぎました!は比べたり競ったりするものではありません。
逆に真夏になり室温低下を気にしなくなれば、フィルターが要らない方も増えるはずです。
あまりやり過ぎると、真夏の全館冷房の時に困るかもしれませんよ。
フィルター増しはあくまで、室内の絶対湿度よりもエアコンの冷気の絶対湿度が低くなるまでの最後の調整として使いましょう。
梅雨時期に全館冷房で失敗しないコツのまとめ
地域や気候によってはゴールデンウィーク前後からエアコンを稼働したい方も多いと思います。
その勢いそのままに梅雨時期に突入すると、思わぬ失敗に直面することもありそうです。
思いがけず室温が下がってしまうオーバーラン、慣れない方だときっと体験すると思います。
それを回避するためには、再熱除湿ドライ運転を最大限に活用する事です。
室内の絶対湿度よりも低い除湿された冷気を出しながらも、しっかりと室温の低下を防ぎましょう。
- 梅雨時期にエアコンを常時稼働させるなら再熱除湿ドライが基本
- 再熱ドライで室温の上昇が止まらない時に初めて冷房運転にする
- 夜間は決して冷房運転のままにしない
一度下がった室温は簡単には上がりません。
これを守るだけで、朝起きて室温が下がりすぎてめっちゃ寒い!という事はかなり減ると思います。
私が全館冷房を始めたときに師匠のフエッピーさんに言われたこと。
まずは最大限に再熱除湿を利用して、しっかりと快適な空間を体に覚えさせましょう。冷房運転などを活用して電気代を抑えたりするのはそれからで十分です。
ちょっとニュアンスが違ったかもしれませんが、皆さんにもこの言葉を贈りたいです。
梅雨時期から真夏にかけてほぼ室温も湿度も一定で快適な空間、みなさんも一緒に体験しましょう。
最後までご覧頂きましてありがとうございます。全館冷房や日除けシェードについてはこちらの記事もご覧ください。