お風呂に入る際には必ず服を脱ぐ「脱衣所」というスペースが必要になります。
間取り設計時に脱衣所の優先度が高い場合はあまり多くなく、深く考えられない場合も多いスペースなのかなと思います。
脱衣所の作り方は大きく分けて2つ。
- 洗面所と脱衣所を兼ねたタイプ
- 脱衣所だけを独立させたタイプ
拘りがある場合には独立タイプを選ぶ方も多いでしょうし、間取り設計の関係で洗面所と兼ねる場合もあるでしょう。
今回はこの洗面脱衣所が外壁に面する場合に配置する窓の選択について
- かすみ窓の透け具合
- 窓の高さや大きさ
- 窓の開けやすさ
の3点から、間取り設計時に気づきにくい失敗例を紹介したいなと思います。
かすみガラスの見え方と気になり方
ハウスメーカーさんで取り扱う窓ガラスは多岐に渡ると思います。
今回は我が家で建築をした一条工務店さんの「トリプル樹脂サッシ」のかすみガラスを例に紹介させて頂きます。
お風呂に「ブラインド内臓サッシ」と「かすみガラスのサッシ」どちらを選択するべきか?はこちらの記事で紹介をさせて頂きました。
関連 一条工務店:お風呂の窓のかすみガラスの透け具合と間取りの注意点
一条工務店さんの場合は「ブラインド内臓サッシ」と「ブラインドの無いかすみガラス」では、断熱性能に大きな違いがありますよ!という記事でした。
その中でかすみガラスにした際の外からの透け具合がどのように見えるのか?を紹介しました。
窓ガラスとの距離が近い場合は
このように人影の輪郭が分かる程度に。
窓ガラスからある程度離れた場合には
うっすらと人が居るという事が分かる程度の透け具合になりました。
この透け具合といか外からの見え方というのは
- お風呂の向き
- 窓の配置
- 窓の大きさ
などにより変わってくるものでは?と思っております。
なので透け具合に関しては一概に言えるものではありません。
例えばこの透け具合を見ても、
と思う人と、
という異なる感想を持つ方がいらっしゃることでしょう。
これは個人の感覚、そして何よりも窓の外側の環境によるところが大きそうです。
そして洗面脱衣所はお風呂と同じく裸になる場所でもあります。
つまりお風呂でのかすみガラスに抵抗がありブラインド内蔵サッシなどにする方は、脱衣所もしっかりと外部からの視線を断つことが必要になってきます。
ブラインド内蔵サッシ以外で視線を切るには
一方でお風呂と違い、脱衣所の場合は外部からの視線を切る方法が無いわけではありません。
お風呂は水に濡れる場所であり、だからこそブラインド内蔵サッシが有効であるだけです。
- カーテン
- ハニカムシェード
- ブラインド
などを活用して簡単に視線を切ることもできるでしょう。
しかし日々の暮らしの中で、カーテンやシェードの開け締めというのは意外と面倒な点もあるものです。
特にも脱衣所というのはお風呂からの湿気も逃げやすく、ブラインドなどはホコリが頑固に付きやすく掃除が大変な場所でもあります。
湿度管理をしっかりとしないとカビが生えやすい場所でもあるでしょう。
そんな中で実用的な脱衣所スペースにする為には、どのような点に気をつけたら良いのでしょうか?
脱衣所の窓の大きさと高さ
洗面脱衣所(脱衣スペース)が外壁に面する場合に、多くの場合は採光などの為に窓を配置される方が多いと思います。
その際に気をつけたいのが窓の「大きさ」と「高さ」です。
大きな窓は寒くそして中が見えやすい
近年はトリプル樹脂サッシなど高性能の窓を採用される家も増えています。
従来の窓に比べて断熱性能は格段に良くなりました。
関連 垂れるほど結露する時点で湿度管理失敗?トリプル樹脂サッシは外気温によってどれだけ結露するのか?
しかしいくら高性能サッシといえども、外壁に比べれば確実に外気の寒さの影響を受けます。
お風呂や脱衣所はそこまで大きな部屋(広さ)ではないでしょう。
そして日当たりの良い家の南側=居住スペースという間取り設計が多いですよね。
その影響もあってか、お風呂や脱衣エリアはどうしても日当たりの悪いエリアへ配置される事が多いでしょう。
その為に、間取り設計時には採光を良くしようと取り付けられる最大サイズの窓を配置しがちです。
部屋の広さに対して大きな窓を配置することは、その部屋が格段に寒くなるということです。
さらに大きな窓=中が見えやすいという事です。
家造りをする際に、人はどうしても「採光が良い」という言葉に弱いものです。
この時に「大きな窓=外から中が見えやすい」という簡単な図式に気づかない方も多いでしょう。
他の方法で視線を遮ることは出来ますが、そもそもそんなに大きなサイズの窓は必要ないのです。
高い位置の窓で採光は確保できる
採光面を考えた時に、人はどうしても大きな窓を配置しがちです。
しかし部屋の広さや壁の有効範囲に対して大きな窓を取り付けてしまうと、物凄くアンバランスで住みにくい部屋が出来上がることでしょう。
これは初めて家造りをする人が陥りやすい本当に危険な罠だと思いますよ。
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こちらの記事でも触れましたが、家が出来上がってから窓が大きすぎて無駄になったスペースを後悔される方はとても多いです。
そして採光面を考えた時に大きな窓は決して必要ではなく、壁の上部に採光スペースがあれば日中の明るさは十分に確保出来るのです。
我が家の脱衣所の窓の高さは+1541です。
北側ですが昼間は十分な明るさを確保できますし、お風呂に入る夜は照明を点灯しますので窓からの採光はそもそも必要ありません。
そして窓が高いという事は、そもそも外からの視線が遮られて中が見えないという事です。
家は基礎の上に建っていますので、窓の高さが+1541あれば、基礎の高さを考えると地面からおよそ2メール以上の高さが無いと中を覗く事が出来ません。
窓の周りの環境にもよりますが、これだけの高さでかすみガラスを採用すれば中の様子を伺う事はほぼ不可能でしょう。
注意したい引き戸と押し開き窓
一方で高い場所に窓を配置する際に気をつけたいのが窓の種類です。
一般的に「気密性」や「断熱性」という点の性能は
- 押し開き窓>引き違い窓
という図式になるのは間違いなく、窓のサイズにもよりますが押し開き窓を採用される方も多いかと思います。
一方で高い位置に窓を配置する際に気をつけたいこと。
我が家の+1541の押し開き窓の場合、ハンドルレバーの高さは約180センチになります。
そこから厚い断熱材の奥にある更に窓の外に向かってハンドルレバーを押してやる必要があるのです。
この時点でそれなりの高身長でなければ既にまともに開け締めするのは難しい事にお気づきでしょうか?
一方で窓の高さを+782程度にすると開け締めは出来ると思いますが、ここにも落とし穴があります。
それは脱衣スペースの場合に窓ガラスの手前には洗濯機が置かれる場合も多いということです。
脱衣スペースの間取り設計にもよりますが、洗濯機の向こう側に窓ガラスという設計は割と多いのかなと思います。
この場合には洗濯機の向こう側まで手を伸ばす必要があり、押し開き式の窓の場合には開けし閉めが容易ではなくなる点には注意が必要です。
ほとんどの場合は開かずの窓になる事は覚悟が必要かなと思います。
脱衣所ではどのような窓を選択するべきか
このように脱衣所では、一般的な居室とは少し違う視点から窓の選択を考える必要があるのです。
立地により外からの視線が気になる場合においては
- カーテンやシェードを使わなくても視線を切れるように
- 裸になる場所なので寒さ対策としても
- 窓は小さく高い位置に設置する
という事を大前提に考える必要があると思います。
一方で高い位置に配置する窓に関しては、洗濯機との位置関係により
- 押し開き窓は開け締めが難しい場合がある
- 引違いでも窓まで届かない可能性もある
- 開け締め出来ても鍵まで届かない場合もある
という点には注意が必要です。
特にも窓の開け締めを頻繁に行いたいなと思っている方は、しっかりと操作ができるのかを高さと位置関係を含めて設計時から検討することが必要でしょう。